いろいろ思うことなど
はじめに
近年、CGに限らず、コミック調の絵の描き方を紹介した書籍が多数出回っています。私の手元にも何冊かあります。プロの技というのは見るだけで楽しいものです。しかし反面、一番知りたいことがほとんど描かれていないこともまた事実です。すなわち「線画の描き方」です。
そもそも「色彩王国」や「How to Art」などの多くの書籍の場合、その名の通り色の塗り方が紹介されているわけです。自然、作業工程の紹介は「1.下書き」から始まり、「2.ペン入れ」と続き、すぐに彩色の工程に入ってしまいます。もちろんプロの彩色過程はとても勉強になるのですが、あまり絵のうまくないわたしとしては、むしろ線画を描くコツや癖などが知りたかったわけです。たとえば目の描き方、髪の描き方、手の描き方、足の描き方などです(←他力本願)。
そういうものを紹介した書籍もむろんいくつかありますし、それはそれでとても勉強になるのですが(グラフィック社の描き方シリーズとか)、一方で心の底から満足できたものはありませんでした。
それならば自分で作ってしまおう、というのが、この企画を立ち上げた動機です。
しかし、ここでは普遍的な意味での上手な絵の描き方などというものを講義するつもりはありません。そんなものがあるかどうかもわからないし、そもそも私にそんなもの描けません(全身像なんて未だにへたくそです)。ネット上には私など足下にも及ばないような、すばらしい技術を持った方々が山のようにいらっしゃるわけで、こんな企画をのせること自体、赤面モノです。
というわけで、ここに掲載されている記事については「私が絵を描くときの癖」程度に受け取っていただけると幸いです。
ちなみに私は正規の美術教育を受けたことがありません。よってデッサンなどの基礎知識もあまりありません。ときにはただしいデッサン教育を受けた人ならば笑ってしまうようなことを言ったり描いたりしますが、そんなときはメールや掲示板で教えてやってください。(^^;
漫画家を目指すなら絵よりも大事なことがある!(……と思う)
ところで絵の上達を目指している方の中には漫画家を目指している人もいるかと思います。これは個人的な意見なのですが、いくら絵の勉強ばかりしても漫画はうまくならないとおもいます。とくに日本の漫画は、ストーリーやコマ割り、演出などの比重がとても大きいです。絵の勉強をするぐらいならそちらの勉強をしたほうがよほど漫画家になる夢に近づけると思います。
これも個人的な意見なのですが、全般的に言ってイラストレーター上がりの漫画家さんの作品はあまり好きではありません。絵の技術は絶品なのに、漫画としてはあまりおもしろくないのが多いからです。美少女系のイラストレーターはとくにそうだとおもいます(もちろん漫画家としてすばらしい作品を描いている方はたくさんいます。私の好きなところでは山田章博さん、安彦良和さん、草薙琢仁さんなどなどなど……)
そもそも絵なんて、漫画を描いていればたいがいうまくなれます。なにしろプロの漫画家なら、週刊連載で月に何十ページも描くのがふつうです。うまくならないわけがないです。理想の絵が描けないといっていつまでも漫画を描こうとしないのが一番悪いパターンではないでしょうか。
絵は楽しく描かなくっちゃ
ふつう、絵を描く人というのは絵が好きだから描いているはずです(←あたりまえだ)。もちろん私もそうです。しかし長いこと絵を描いていると、だんだんそれがいやになってくる瞬間があります。たとえばうまく描けなかったり、自分の絵が好きになれなかったりする時です。そういうとき、うまくならねば、という強迫観念のようなものに追いかけられて、いつのまにか苦しみながら絵を描いている自分がいます。そのうち自分がいままでどうやって絵を描いていたのか思い出せなくなってきます。ようするに魔女の宅急便のキキ状態です。「いままでは考えなくても飛べたのに、いまは飛び方を忘れてしまった」ってやつです。
変なことを言うようですが、少なくともアマチュアで絵を描いている分には、あまり思い詰めて絵を描かない方がいいんじゃないでしょうか。うまくなりたいと思うために絵を描くことが苦痛になりはじめたら、一度筆をおいて、しばらく絵から離れたほうがいいと思います。おなじく魔女の宅急便で絵描きのお姉さんが言っていたのは、「絵が描けなくなったら、描いて描いて描きまくる。それでも描けなかったら、描くのをやめる。そのうちまた描きたくなってくる」というようなことでした。たぶん宮崎駿監督にも同じような経験があったのでしょう。この言葉にずいぶん助けられました。はい。
| 推薦図書 | |||
| 快描教室 | 菅野博士/著 | 美術出版社 | |
| キャラデザの壺 | 尾澤直志/著 | グラフィック社 | 1,450円 |